CG making by Photoshop

0.はじめに

■ 今回製作したCGはこちら(←)です。使用ツールはPhotoshop6.0とペンタブレット。
■ このメイキングは“Photoshopのテクニックを公開する”ためではなく、あくまでも“こんな手法でCG描いてます、というのを公開する”というコン セプトの元に製作しています。
したがって、Photoshop初心者さん向きではないと思われますが、ご了承下さい。
■ 各サムネイルをクリックすると、スクリーンキャプチャが新窓で開きます。

碧がCGを塗る時に念頭においていることは、デジタル臭さの少ない塗りと速さです。
最近になって、デジタル臭さのないというか、よりアナログに近い塗りをすることを好むようになりました。なので、塗り方を工夫したり、テクスチャを貼った りして工夫しています。

1.アナログの線画を取り込む

スキャナを使用して、手描きの線画(鉛筆描き)をパソコンに取り込みま す。
この時のモードはグレースケール、解像度は150dpiです。
グレースケールの方が線画を補正する時に楽です。プリンタで出力する場合には300〜400dpiで取り込んでいますが、ウェブ用ではこれぐらいあれば充 分だと思います。ペン入れをしていたり、細い線のものであればもう少し高いほうが線も潰れません。
低解像度で作業した方が動作も軽いので、作業時間の軽減にも繋がります。ウェブ用の画像として最後には解像度を72dpiまで下げるので、取り込み解像度 がそれに近いほうが細部も潰れなくなります。

2.線画を補正し、着彩の準備をする

先ほどスキャンした画像はそのままだと線が薄く、白色もくすんでいるの で、レベル補正(イメージ→色調補正→レベル補正)で補正します。紙の色のところを白スポイトでクリックし、あとはスライダーで適当に調整します。
今回は一度目で紙の色のくすみをなくし、二度目で線の濃度を調整しました。複数回に分けて補正したほうが微調整が利きます。
この他にもコントラストや明るさで調整したりと、色々な方法があります。
補正が終わったら、このレイヤーウィンドウを表示させて(ウインドウ→レイヤーを表示)現在のレイヤーを複製して「背景のコピー」レイヤーを作り、「通 常」となっているモードを「乗算」にします。これで準備ができました。

3.肌を塗る@

先ほど作った「背景のコピー」レイヤーの下に新規レイヤーを作り、そこ に着彩していきます。碧は大体色別にレイヤーを分けます。ブラシツールで肌を塗っていきます。
ブラシはぼかしの開始位置を100にし、ボケ足の少ないもの にしています。
ペンタブレットを使っているので、オプションでブラシ機能拡張利用のサイズ、不透明度、カラーを全て「筆圧感知入力」にします。それから背 景色は白、描画色に肌色を選んで塗っていきます。
筆圧を強くするほど線は太く・不透明に・描画色に、弱くするほど細く・透明に・背景色に、近付いていきま す。

4.肌を塗るA

今度は先ほどの描画色を背景色にし、それよりも濃い色を描画色にしま す。
塗り方は先ほどと同じです。碧の場合は絵にハイライトは基本的に入れないので、この時に明るくなるところは塗り残しています。つま り、色が濃くなればなるほど塗る面積は小さくなるということです。
筆圧の微妙な加減で描画色と背景色がブレンドされ、より微妙な色合いの塗りが出来ます。
キャプチャは二度目の塗りを終えたところです。陰影が付いてきました。いつもは大体5、6回程度は色を重ねています。
今回、光源は左からということで塗っています。

5.肌を塗るB

先ほどの描画色を背景色に、さらに濃い色を描画色にしてひたすら塗りま す。
そろそろ細かいところもしっかりと影をつけていきます。目蓋の影や鼻の高さが出てきました。
顔には大体影が付いてきても首はそれよりも暗くなることが多いので、まだ立体感を出すほどにまで色がありません。色を重ねていくほどに顔の塗る面積を減ら し、首の塗る面積を増やしていきます。
光源のことを考えると、首は頭の影になり、ほとんど暗い色になっています。
塗っているうちに、やや肌色が黄色すぎるような気がしてきました。

6.肌を塗るC

鼻の塗り残しが明るすぎるような気がしたので、うっすらと濃い色を重ね ました。さらに、色相を変えて(イメージ→色調補正→色相・彩度)、肌に赤みを加えました。
これで肌は完成です。いつもはもっと鼻周辺に影をつけるのですが、テクスチャを乗せると極端に濃くなったり色が飛んでしまったりするようなので、今回はこ れぐらい。
目元を細かく塗っているのがお分かりいただけるでしょうか。
ブラシの大きさは塗るところによって5〜40pxぐらいのものを使い分けています。

7.髪を塗る@

髪の範囲をパスツールで大まかに塗りつぶしたあと、サイズ・不透明度の み筆圧感知入力にしたブラシで細かい所の範囲まで取ります。
あとは肌と同じような手法で塗り重ねていきます。
この画像を見てお分かりだと思いますが、下地の色はかなり淡いです。どんどん色を塗り重ねていくうちに、これぐらいなら多分ダークブロンドかブラウンにな ります。

8.髪を塗るA

ひたすら塗って、髪が完成しました。
多分今回は4、5回ほど色を塗り重ねています。髪の毛の場合は、どんどんブラシの大きさを小さくしながら作業するとキレイに塗れます。
塗っているうちに、左側の前髪から眉毛が生えていることに気がつきました。これは後で除毛する(笑)ので、現段階では放置しておきます。
髪を塗り終わったら(碧の場合)もういじることはないので、肌レイヤーと結合しておきます。

9.目を塗る

目は最初に白目を塗った後、粘膜感を出すためにサーモンピンクで白目の 縁をうっすらと塗ります。
黒目は淡い青の下地と黒で塗った後、中間の青でそれらしい雰囲気を出すために細く放射状の線を描きます。
このままだと目蓋の影がないので、上に乗算モードのレイヤーを作り、薄いグレーで影をつけます。
この方法を使うと、黒目も白目もいっぺんに影がつけられるので楽ちんです。
パーツが完成したら、そのつど彩色レイヤーを一枚に結合しておきます。

10.服を塗る

髪の毛と同じ要領で範囲をとり、ベースの色を塗ります。
碧の場合、服はそんなに塗りこまないので下地も淡い色を選んではいません。
範囲をとり、今までと同じ手法で塗っていきます。服の場合は肌や髪よりも意識してタッチを残すようにしています。そのほうが質感が出るような気がします。
服を塗り終えたら、今までのように彩色レイヤーを一枚に結合しておきます。
この段階で、レイヤーは「背景のコピー」と彩色レイヤーの二枚のみになっています。
(「背景」レイヤーは「背景のコピー」レイヤーを作成した段階で削除しています。)

11.線画を修正する

この段階で、先ほど気になった“髪から生えている眉毛”と髪が被さって いるのにも拘らず見えている目の線を消しておきます。
「背景のコピー」レイヤーを選択し、サイズ・不透明度のみ筆圧感知入力にした白いブラシで余計な線を消します。消しゴムツールを使わないのは、「背景のコ ピー」レイヤーは抽出された線ではなく白い紙の上に描かれた線なので、修正液を使うようなものだからだと思ってください。
これで髪の毛にある眉毛や目が消えました。

12.サイズを変更する

今回はサイトのインデックスという横長のスペースにはめ込むイラストな ので、このままでは幅が足りません。
なので、画像サイズを適当に足します(イメージ→画像サイズ)。この時に、背景色は白に設定しておきます。白以外だと、増えた部分に色が付いてしまい、厄 介なことになります。
これで、横長の絵になりました。
この段階で、塗りも全て完成しました。
あとはテクスチャを入れて、トリミングするだけです。

13.テクスチャを乗せる

最後にテクスチャを入れて、少し重厚感を出します。
今回テクスチャはコンクリートの壁のものを二種類使いました。
それぞれ新規レイヤーを作成して貼り付けます。一枚は全体に乗算モードでもう一枚は人物部分にオーバーレイモードで合成しました。
テクスチャは自由に使用できる素材サイトから取ってきたり、自分で写真を撮ったり、実物をスキャンしたりと色々な方法があります。折り紙をスキャンして補 正したものはとっつきやすいので、テクスチャ初心者にはおすすめかもしれません。

14.仕上げをする

全体を眺め回して、もう少し青白い雰囲気が出したいと思ったので色相を 変更(イメージ→色調補正→色相・彩度)して青っぽくしました。
それから顔のど真ん中にかかったテクスチャが少し気になったので、不透明度の低い消しゴムツールをぼけ足の大きいブラシにしてささっと顔を掃きました。こ れで顔部分にかかったテクスチャが薄くなりました。
あとはサイトのインデックス用にトリミングして文字をいれ、JPEG保存して完成です。
文字を入れて完成したバージョンはこちら

15.終わりに


Photoshopメイキング、如何でしたでしょうか?これはあくまでも碧個人の製作方法であって、CG講座ではありません。
そのためにあちこち分かりにくい箇所もあると思いますが、ご了承下さい。質問があればお気軽にどうぞ。
このメイキングが少しでも参考になれば幸いです。 2007.03 輝扇碧


(本館:創作イラスト・漫画・小説サイト)