あとがき


 今回は全10話、ちょうど二ヶ月にわたる連載でした。毎週欠かさず更新できてよかったです。

 男性ファッション誌か何かを見ていたときに、黒スーツ姿のモードなモデルさんを見て思いついたキャラクター。それがこのマニーことエマヌエルだったりし ます。彼は黒く染めた巻き毛を顎のラインで切り揃え、黒いスーツに身を包んで歩く大柄な殺し屋。淡々と人殺しをする彼はモラルがないのではなく、(人殺し を)ビジネスと割り切っているだけです。だから、罪悪感に打ちのめされる事だってあるのです。
 足のタトゥーとピアスをつけているという描写だけで顔の出てこない主人公、ウォルト。彼はある意味で殺し屋、エマヌエルよりもしたたかな男です。かつて 堕落しかけて、それで辛うじて踏みとどまった男。マリファナを嗜む仲間達とつるんで泥棒をやっていますが、自分はマリファナも吸わず、泥棒も金銭的な必要 がなくなったらやっていません。生命の危機に晒されたとき、一通り悲しみはしますが、その後にはもう打開策を考えています。
 この二人、一見共通点は余りないように思えるのですが、よくよく見ると似ているのかもしれません。契約はあくまでも契約とみなし、それ以上のこともそれ 以下のこともしません。それが、話が進むにつれて変化していくのですが・・・。

 今回は『お題屋自由鳥』の誰か様によるお題を借りてこの話を作りました。多分お題の方は、続き物を想定して作られてはいなさそうだったので、お題をこな しつつ話を進めていくというのは思ったよりも骨の折れる作業でした。それでも、ゼロから作るのとはまた別の面白さがあって、有意義な体験ができたと思いま す。この場ではありますが、お礼申し上げます。

2006.12.16 輝扇碧

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